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<title>とき葉のゆめ</title>
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<title>まゆみのこと〜出会い〜</title>
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<description>まさか、身近にこんな家族が居るとは思わなかったお話。 まゆみには両親と姉妹が3人...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;まさか、身近にこんな家族が居るとは思わなかったお話。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;br /&gt;
まゆみには両親と姉妹が3人いた。&lt;br /&gt;
出会ったのは、自分が住んでいた町から少し離れた小さな町の団地の一室だった。そこには、私のかつて親友と呼んでいた女の彼氏が住んでおり、彼氏の父親に会いに来ていたのが、私と同い年の15歳のまゆみ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;夏の暑さで窓の向こうが歪んで見える日だった。狭い団地の襖一枚向こうは、65歳になるその家の主がいたが、まゆみはその部屋から汗をうっすらかき、髪を乱して這い出てきた。にこっと私に笑いかけながらお互いの名前を言い、今から遊ぶことになった。&lt;br /&gt;
昼をとっくに過ぎていたが私たちはごはんを食べていなかった。私は親友と親友の彼氏がいちゃつくのをまじまじと見て「帰る」とだけ言い残し、まゆみと団地を出た。駐輪場には暴走族らしき改造したピンクの水玉模様のバイクが停めてあった。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;自転車にうまく乗る事のできない私を後ろに乗せて、まゆみは言った。&lt;br /&gt;
「うちにこない？」&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;まゆみが自宅に誘ってくれたことで、何となく安心感を覚えた。15歳、まだ子どもの延長線上にいた私は同性の友達の家に遊びに行くことで、さっきまでの狭い団地での親友のみだらな場面を頭の中から消そうとしていた。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>日記・コラム・つぶやき</dc:subject>

<dc:creator>とき葉</dc:creator>
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<title>ロンのこと</title>
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<description>ロンは体重9キロ。体も大きくなったけど、態度もでかい。 寝るときは仰向けで片足を...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;ロンは体重9キロ。体も大きくなったけど、態度もでかい。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;寝るときは仰向けで片足をペットサークルの柵にひっかけて寝る。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;でも小心者なのでおやつをもらうと隠れて食べる。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;小心者で態度がでかい。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;小心者＋態度大＝？&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;答えは、けが。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;噛まれるのだ。家族限定で。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;お母さんは4センチも手首を噛まれ切れた。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;お父さんは散歩中に怖くて歩道を歩けないロンと反対側を歩いて、&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;車にひかれた。靴が30メートル飛んだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;今は全快したけど、結構大変だった。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;だめなロン。躾けた私も悪かった。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;でもかわいい犬、ロン。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>日記・コラム・つぶやき</dc:subject>

<dc:creator>とき葉</dc:creator>
<dc:date>2009-04-18T22:55:58+09:00</dc:date>
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<item rdf:about="http://toki-ichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-0492.html">
<title>「姉さん」と呼んだ人のこと</title>
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<description>とき葉には妹しかいません。でも、少しの間だけ「姉さん」と呼ぶ人と一緒にすごしたこ...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;とき葉には妹しかいません。でも、少しの間だけ「姉さん」と呼ぶ人と一緒にすごしたことがあります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;「この人と会うと、胃が痛くなる」←結構体験している人がいると思いますが、私にとって姉さんは、生まれてはじめて会うと「胃が痛くなる」人でした。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;まず、姉さんはコワい。すぐに怒るし、行儀にうるさくて自分に厳しい。姉さんには8歳になる女の子がいましたが、あんなに親の言う事を素直に聞く小学生を、私は未だに見た事がありません。ただいま、と帰って来て洗濯物を取り込み、畳んだら机の上を拭き「お母さん宿題やります。本を読むので聞いてください」と言って素直に宿題を始めるのです。おやつも催促しないし、姉さんに聞くところによると朝は卵かけご飯を自分でつくって食べて学校に行くとのこと。自分が同じくらいの時では考えられませんでした。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;姉さんは17歳の時、娘を産んだそうです。それもたった一人で。それからいろいろな仕事をしたのでしょうか。子どもと離れて暮らした時期もあったようですが、厳しい態度の中には子どもにしっかり育ってもらいたいという強い信念が感じられました。いわゆるスナックで夜の仕事をしていました。&lt;br /&gt;
姉さんの旦那さんは社会的にコワい人でした。二人はまだ結婚したばかりだったのですが、旦那さんは早くも姉さんをたくさん泣かせていたようです。この旦那さんのおかげでとき葉は麻雀を覚えました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;姉さんは夕方仕事に行く前にきちっと家中を掃除して、子どもと一緒にご飯を食べます。とき葉もよくごちそうになりました。決して手の込んだ料理ではなかったけど「○○の素」を使っていない、姉さんの味だったのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;とき葉はそのころ、家を飛び出したばかりでまさに「何も解らないちゃん」でした。水道が止まっても慌てて公民館に聞きに行ってみたり…水道代がかかることすら知らなかったのです。もちろん、挨拶などもうまくできませんでした。「ごちそうさま」「ありがとうございます」「お大事に」「申し訳ありません」姉さんの8歳の娘より出来ていませんでした。そういうことに人の百倍うるさくてすぐに怒る姉さん。&lt;br /&gt;
だから姉さんの家に呼ばれるのが何よりの恐怖でした。でも、背に腹は代えられません。家を飛び出して挨拶もできないので仕事もできず収入もなく、ごはんをお腹いっぱい食べられるのは姉さんの家しかなかったのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;「…いただ…きます」&lt;br /&gt;
姉さんの機嫌を損ねないために恐れおののきつつも精一杯挨拶をします。&lt;br /&gt;
「何だと？はっきりもの言え!!メシを運ぶでもなく、手伝うでもなくて食うならはっきりもの言ってから食え!」&lt;br /&gt;
親にだってこんな言い方されたことはありません。怖くて怖くて、せっかく目の前に料理が並びつつあるというのに、おなかも空いているはずなのに食欲があまり…でも、台所に向かった姉さんを見て必死でとき葉は言いました。&lt;br /&gt;
「ね、姉さん。何か手伝いましょうか？」&lt;br /&gt;
「『手伝いましょうか？』だぁ？本当に手伝う気があるんか!!手伝うときはなぁ先に手がでるんもんだ。じゃなきゃ『手伝います』とか『何か出来ることはありますか？』だ!」&lt;br /&gt;
「す…すみません…あの…」&lt;br /&gt;
「何だ？はよぉ座って食え!」&lt;br /&gt;
おぉぉぉぉこわぁぁぁ…。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;姉さんの家に行くといっつもこんな調子でした。最初はこの女の人何か怒ってる？と思ってキライになりかけたのですが、怒っても怒ってもとき葉をごはんに呼んでくれる姉さんに、「どうしてとき葉呼んでくれるんだろー？」と思いながらも少しずつ感謝の気持ちが出できたように思います。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;姉さんは、生い立ちからあまり恵まれなかったということを人づてに聞きました。少しでもだらしないところを見せると「おじょうさんのおたわむれだ」とぐずな私の胃を刺激し続けたのです。&lt;br /&gt;
姉さんの旦那さんは家族を養うという観念がありませんでした。常に男の勝負というものに出ており、姉さんもそんな旦那さんにはおかまいなしでせっせと仕事をして、別に食べさせてもらおうとも思っていなかったようです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;姉さんの仕事に付いて行ったこともあります。旦那さんの上司にあたる社会通念上コワい人の親分の嫁さんがやっている店で、店の女の人は10人くらいいましたが、一筋の滝のようにはっきりとした序列がありました。&lt;br /&gt;
姉さんはそこでは2番目で、しっかりした学級副委員って感じの立場でした。旦那さん達の序列とほぼ一緒でした。社会見学の私は子どもか犬くらいの立場で、姉さんが常に私に向かってアンテナを張っていたので、お客さんが来てもこわくて一言もしゃべれませんでした。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;そんなこんなで家を出て2年が経った頃、一緒に住んでいた彼との仲は決定的に破滅しました。そして、最初は知らない土地ではあったのですが、友人も出来、私は遊び始めたのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;私とよく遊んでくれたのはマリアさんという人でした。姉さんの旦那さんの用事で名古屋に付いて行くときに車で一緒になったのですが、自分の同僚の妹だということだったのです。旦那さんは「姉さんには言わないように」と釘を刺した上で、マリアさんと連絡先を交換するのを許してくれました。社会的にコワい人の妹か…と思って最初はおつきあいしていました。マリアさんは私に楽しいことをいっぱい教えてくれました。夜遊びすること、男の人からお小遣いをもらう姿「仕事をしなくても女はやっていけるんだよ」…姉さんとは真逆の甘い生活のマリアさんを見て、一緒になって甘い目に遭っていました。でも、マリアさんが「妹」ではなく「妾」だと気づくのに時間はかかりませんでした。きっとこれも姉さんと過ごしたから私のアンテナも少しは伸びていたからでしょう。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;旦那さんから聞いた訳でもないでしょうが、マリアさんと楽な遊び方をして毎晩フラフラしている私を、姉さんは「話がある」と呼び出しました。いままで、このパターンで呼ばれて怒られなかった事はただの一度もなかったので、躊躇しましたが重い足取りで姉さんの家に向かいました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;珍しく姉さんは子どもに「2階で本でも読んでな」といい、私と姉さんふたりだけになりました。&lt;br /&gt;
「あんた、もう帰りなさい。あんたは挨拶もできるようになった、危ないことは何かがわかったね？あんたがここにいる理由はもう無いよ。このままいたらあんたの将来は取り戻しがきかなくなる。これは私のお願いだ、何にもいわずにもう帰りな」&lt;br /&gt;
姉さんが「お願い」と言ったのはこのときが最初で最後でした。目下の私に対して姉さんは絶対にそんなことは言わないだろうと思っていたので、とても驚きました。地元に帰ることについては、実際のところ彼とうまくいっていなかったので彼が居る借家にいつまでもいるのはつらかったし、この先どうしたら良いのか考えなきゃいけないなぁと思えるくらいには成長していたのだと思います。&lt;br /&gt;
「はい、ありがとうございました」&lt;br /&gt;
床に座り直し、正座をして両手をついて頭を下げました。姉さんの厳しいけど、確かに私のことを考えてくれている姿勢を感じ、人を大切にするというのはこういうやり方もあるのかと思いました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;姉さんは携帯を手に取り旦那さんに電話しました。&lt;br /&gt;
「…もしもし、アンタちょっと来て。うん、うん…とき葉を帰すわ」&lt;br /&gt;
事前に旦那さんとも話してあったらしく、すぐに真っ白な外車にのって旦那さんは帰ってきました。&lt;br /&gt;
旦那さんは何も言わず、玄関の外で煙草を吸いながら車のそばに繋いである犬を撫でていました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;元々、家を飛び出してきたのですから荷物はそんなにありません。実家に帰るのに食器やもらいものの家具などもっていっても邪魔になるだけだと、姉さんはボストンバッグを私にくれて「この中に入るものだけだ」と言いました。姉さんがくれたお下がりの洋服や、化粧品などを詰め、再び旦那さんの白い車に乗りました。車の中で姉さんは「ちゃんと親に謝って、また住まわせてもらえるように頭を下げるように」と言いました。しばらく離れていた親への思い入れなんかよりも、姉さんの説教を聞くのもこれが最後だと思うと寂しくて少し涙が出てきました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;やがて家に着き、玄関先まで姉さんはついてきてくれました。玄関を開けて、ついでに驚きで口が開いたままの親に対して、私はまだ素直に謝れず、もじもじしている私に姉さんは肘鉄砲を食らわせました。やっと私の口から言葉が出ました。&lt;br /&gt;
「す…すみま」&lt;br /&gt;
「すみませんでした!」&lt;br /&gt;
私のくすんだ声をかき消すくらいに私の親に謝ったのは姉さんでした。&lt;br /&gt;
「お嬢さんが私の近くに居るのを知っていて連絡もせず、申し訳ありません。でも親御さんと離れて、とき葉さんは大きくなりました。私は何も出来ませんでしたがせめて無事でお帰しします」&lt;br /&gt;
母親はびっくりしていましたが、姉さんに通り一遍のお礼を言い、連絡先を教えて欲しいと言いましたが、姉さんはきっぱりと断りました。私はボストンバッグを玄関の上がりかまちに置いて、姉さんを見送りました。白い外車に乗り込み際、姉さんは一通の手紙を私に差し出しました。&lt;br /&gt;
「はやく家に入って、きちんと親に頭下げんか!きっちり頭下げたらこれお母さんに渡して」&lt;br /&gt;
白い封筒には細くも力強い角張った字で、とき葉の苗字に「様」がつけられきっちり封がしてありました。&lt;br /&gt;
「ありがとうございました」本当に本当に感謝でいっぱいでした。できることならもう少し姉さんに怒られたかった。でも姉さんはきっと自分と同じ世界には私を置いておきたくはなかったのでしょう。&lt;br /&gt;
「アンタ、もう出て」&lt;br /&gt;
旦那さんに声を掛け、窓が開いたまま車はゆっくりと動き出しました。旦那さんも最後に&lt;br /&gt;
「じゃあね」&lt;br /&gt;
と短く声を掛けてくれて。白い車は遠ざかって行きました。私が昨日までいた世界も小さく、遠く、なくなってしまうようでした。&lt;br /&gt;
実家前の道の真ん中でわんわん泣きました。私は姉さんに何のお礼も出来ないまま離れてしまったのです。いくら「ありがとうございました」と姉さんに言ったところで、それも姉さんが教えてくれたことです。私が遠く小さくなってしまった車に向かって、泣いてお礼を言っている姿を見て、母親は家に入るように促しました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;何年も経ってから母親に聞いたのですが、姉さんが最後にくれた手紙には、私と初め会った時のことやどんなに私のことを可愛く思っていたかが書いてあったそうです。娘が出来るまでは肉親と呼べる人も無く、ずっと妹がいたらいいなと思っていたということでした。最初、連絡先も言わず突然娘を送って来た見知らぬ女に対して、親は少し怒っていましたが、娘がこんなにも他人に対して感謝するようになったことや、姉さんの手紙の真摯な姿勢に納得したようでした。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;姉さんは、その後旦那さんと別れて関西方面にいると風の噂に聞きました。できることならもう一度会って「姉さん」と呼び、しっかりとお礼が言いたいといつも思っています。&lt;br /&gt;
姉さんに出会った事は私の人生の財産でした。私もこれから出会う人の中で、昔の私みたいな女の子がいたら、姉さんが私にしてくれたようにごはんを一緒に食べようと思います。「他人のメシを食う」という慣用句は後で知ったのですが、本当に幸せな「他人のメシ」でした。あの世界を少しだけ覗いて、無事で戻れたことにも感謝しています。&lt;br /&gt;
&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>日記・コラム・つぶやき</dc:subject>

<dc:creator>とき葉</dc:creator>
<dc:date>2009-04-11T00:56:35+09:00</dc:date>
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<item rdf:about="http://toki-ichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-8518.html">
<title>ヒキの良さ</title>
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<description>とき葉は麻雀をします。でもあまりルールを知りません。 とき葉に麻雀を教えてくれた...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;とき葉は麻雀をします。でもあまりルールを知りません。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;とき葉に麻雀を教えてくれたのは、結構凄いオジぃでした。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;とき葉が17歳のころのお話。そう、結構最近の話です(?!)。その頃といえば年が一つ二つ違うだけで先輩・後輩の序列がはっきりしていた若くてまだ青い時代。今思えば生意気というか怖いもの知らずで恥ずかしいのですが。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;br /&gt;
いくつも年が離れたコワいお兄さんがピリピリして立っている中、とき葉はふかふかの革のソファに沈むように座ってアイスを食べていました。その事務所は「女」は出入り厳禁でした。まだ世間の何もかもが解らない17歳のとき葉は、まだ子どもだということでそこに居ることができたのでしょう。生物学上の「女」でその事務所に出入りできるのはとき葉だけだと、お兄さん達の中の一人が教えてくれたことがありました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;開いたままのドアの向こうの部屋ではオジぃたちが何やら話しながら麻雀をしています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;「とき葉、ちょっとこっち来い、おめぇはヒキが良さそうだからちょっと打ってみ」&lt;br /&gt;
そういうオジぃと自動雀卓の同じ縁に座ってわけもわからず牌を引いたのが最初の麻雀体験でした。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;############&lt;br /&gt;
自分の持っている牌の数字をそろえること。順番が回ったきたらひとつ山から引いてひとつ捨てること。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;あとひとつのところまで揃ったら赤い点の一つついた棒を中央に出して「リーチ」といい、そのあとひとつを自分が引いたら「ツモ」と言い、人が捨てたら「ロン」と言うこと。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;一・九・字牌は要らない。ただし三つずつあるときは取っておいてもいい。&lt;br /&gt;
############&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;とき葉が教わったルールはこれだけでした。なのにその夜の麻雀でとき葉は欲しかった洋服・バッグ・靴を手に入れることが出来たのです。&lt;br /&gt;
「やっぱりおめぇはヒキが良い」&lt;br /&gt;
ヒキが良い、ヒキが良いとばかりオジぃは言っていましたが、とき葉にはあまり意味が解りませんでした。&lt;br /&gt;
「ねぇオジぃ、ヒキってなぁに？」&lt;br /&gt;
アイスを頬張りながら聞きました。&lt;br /&gt;
「ヒキってのはなぁ、『欲しい』と思ったら手に入る力のことだな。お母ちゃんのおなかから出て来たときにはヒキが良いか悪りぃかはもう決まってんだよなぁ」&lt;br /&gt;
「それって運のこと？」&lt;br /&gt;
「運は、いつ起きるかはわからんが良いことが突然降ってくることだろぉ、ヒキは自分がこうしてぇっていう時にアクションを起こしたら思い通りになる、魔法の手みたいなもんだ」&lt;br /&gt;
オジぃは話しながら視線で牌を引くようにとき葉に促しました。こんどの回ばかりは欲しいとおもった牌が来ずに、とうとう最後の牌になってしまいました。&lt;br /&gt;
「どうだ？とき葉、お？」&lt;br /&gt;
「あー、えっとツモ」&lt;br /&gt;
「ちっ!海底かよ」「まったく…」&lt;br /&gt;
他の三人はため息をつきながら点のいっぱい付いた棒をとき葉のほうへじゃらっと出します。対面に座っているオジぃがまるで幼稚園の子どもと話すみたいに言ってきました。&lt;br /&gt;
「ねぇねにはかなわんわぁー。ま、何するにしても今みたいに素直に引いてくるんだよぉ。わかったぁ？」&lt;br /&gt;
言っている意味がわからず？？になっているとき葉にオジィは付け加えました。&lt;br /&gt;
「欲をかくとおめぇのヒキが生きなくなっちまうってこと。おめぇ以外の人間は麻雀をわかってて計算できるから『この牌が来ればいくら儲かる』だとか余計なこと考えながら引いちまってるから欲しい牌が出て来ねえのよ。で、それを技でカバーしてるんだが、あんまりおめぇが素直に引いてくるから、その技も今日は役に立たねぇんだけどさ」&lt;br /&gt;
「だってオジぃが『こんなかの順番に引いたら揃うから』って言ったから」&lt;br /&gt;
「それだけで引いて来れるおめぇは相当ヒキが強いのさ。でもな、だんだん解ってくるようになると『欲しい』って気持ちが強くなって引けなくなる。いくら持って生まれたもんでも、自分のヒキの良さを知らずに欲をかいたら、宝をどぶに捨てるようなもんさ。おめぇは『これが出る』って信じて引けば、出るだろう？ヒキの良い人間はな、欲さえかかなきゃ自分の好きなものが手に入るし、そんでおめぇみたいにニコニコしてりゃ、味方になってくれる人間もたくさんできるってことさ」&lt;br /&gt;
「ふぅん」&lt;br /&gt;
「欲をどうやってコントロールするかだな。何にも知らないまま生きてくわけにはいかねぇだろ？おめぇもいろいろ知ってくるようになると欲しいもんややりたいことが山ほどでてくるさ。そこで『出来る』と思って自然に行動できるかできないか、それさえできればおめぇは強い」&lt;br /&gt;
「ヒキってすごいねぇ」&lt;br /&gt;
オジぃが、きょとんとしているとき葉の顔を横目で見つつ、にやっと笑いながら煙草をくわえると後ろに立っていた若い人がさっと火を点ける。&lt;br /&gt;
「誰にでもあるもんじゃねぇよ」&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;&lt;br /&gt;
その後、何度か人生の岐路に立たされましたが、今まで何とかやって来ているということは、まぁ良しと言えるでしょう。その頃のとき葉とは比べ物にならない今の生活環境。現在の職場には人間関係でもとても恵まれていますし、やりたい仕事ができていると思います。そして今、新しい生活への希望が見えてきました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;オジぃの話はどこまで本気にして良いのか、いまだによくわかりません。ただ、「素直な気持ちで行動を起こす」ということなのだと思います。あの時代、あの場所なりのやり方で大切なことを教わった気がしますし、学校で先生に教わるよりもぴったりと身に付いているような気がします。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;オジぃは今頃どこで何をしているんだろう。もう15年も経つんだなぁ…。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>日記・コラム・つぶやき</dc:subject>

<dc:creator>とき葉</dc:creator>
<dc:date>2009-04-08T23:57:47+09:00</dc:date>
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<item rdf:about="http://toki-ichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/-10-c660.html">
<title>蒼-10</title>
<link>http://toki-ichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/-10-c660.html</link>
<description>二人で湯船の中から、ぼぉっと湯気が天井に上がっていくのを眺めていた。一之進がふう...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;二人で湯船の中から、ぼぉっと湯気が天井に上がっていくのを眺めていた。一之進がふうっと長いため息をつくと、とき葉はすらっとした手で、冷えてしまわぬよう一之進の肩に交互に湯を掛ける。&lt;br /&gt;
「おまえとずっとこうしていたい、とき葉、もしもわたしと毎日一緒いたらわたしとおまえは幸せだろうか？」&lt;br /&gt;
思ってもみなかったことを耳にしたとき葉は、返答に困ってしまった。&lt;br /&gt;
ここの女が楼から出られるとすれば、年季が明けるか身請けをされるかどちらかしかない。身請けとは、女が楼へ来る時に背負って来た借金と今後の楼への保証金として莫大な金額を使うことになる。&lt;br /&gt;
よっぽどの大尽でない限り、無理なことであったがとき葉は一之進ならできるのではと一瞬思った。が、今からする自分の返答が、身請けをねだることになるのはとき葉の本意ではない。一之進がどこの武家か大名かは知らないが、身請けできるだけの家であれば相当の名家と考えて違いない。&lt;br /&gt;
だとすれば、その家の妾や妻になったとしても、とき葉は生涯「あの女は女郎をしていた」と家の中でも言われ続けるだろう。&lt;br /&gt;
「あなた様は外ではきっと大切なお役目がありましょう。そんな大事を果たした後、待っている女がわたくしのような者では釣り合いません」&lt;br /&gt;
「返答になっておらん」&lt;br /&gt;
一之進は少し寂しそうに言い、肩まで湯に浸かり込んだ。とき葉は少し考えて一之進に少しだけ背を向けるようにして小さな声でつぶやく。&lt;br /&gt;
「…この上ない幸せにございます…」&lt;br /&gt;
すぐさま、元のはっきりとした口調でとき葉は続ける。&lt;br /&gt;
「一之進様『晦日の月』と申します。このようであったなら、もしも、などと話すうち期待が膨らんで、それが叶わぬことがつらいのです。ならぬことはならぬものと思っておかねばここには居られません」&lt;br /&gt;
晦日とは月の終わりの日を指す。新月にあたるので、どんなに晴れていようと月が見えることがない。ありえないことを指して言うのである。&lt;br /&gt;
「…湯にあたります、そろそろお出になりましょう」&lt;br /&gt;
振り切るようにとき葉は一之進を促した。一之進がお内儀の言っていたように身分の高い者であるならば、楼の女など迎え入れることは身分違いも甚だしいであろう。とき葉は自分をがっかりさせるのが恐ろしかった。&lt;br /&gt;
「…待っていてくれ」&lt;br /&gt;
ぽつりとつぶやいた一之進をよそに、湯気の先を見上げると、風呂の高窓の格子からは、煌煌とした満月が顔を出し、その明るさのせいで空は蒼く広がっていた。とき葉は、一之進の肩に手をかけて言った。&lt;br /&gt;
「今日が晦日であれば良いのに…」&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>もうひとつの世界</dc:subject>

<dc:creator>とき葉</dc:creator>
<dc:date>2009-03-10T22:49:38+09:00</dc:date>
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<item rdf:about="http://toki-ichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/-9-811c.html">
<title>蒼-9</title>
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<description>引け四つの拍子木が鳴り、宴も終焉を迎えた。座敷の隣には布団が用意され、とき葉は着...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;引け四つの拍子木が鳴り、宴も終焉を迎えた。座敷の隣には布団が用意され、とき葉は着替えをしてくると一之進に告げると、一之進は意外な事を口にした。&lt;br /&gt;
「とき葉、湯に入らないか。なぜか体が冷めてしまったようだ」&lt;br /&gt;
「はい、ではすぐに湯の用意を」&lt;br /&gt;
とき葉は、眠そうにしていたこはくに湯の用意をするように頼むと、こはくは座敷を出て、廊下の奥にいた喜助にむかって&lt;br /&gt;
「喜助どーん、湯をやっておくれ」&lt;br /&gt;
と甲高い声で言っているのが聞こえる。&lt;br /&gt;
「まぁ、こはくったら。あんなに大きな声で」&lt;br /&gt;
「よいではないか、こはくは素直な子だ。とき葉はこはくがかわいいか？」&lt;br /&gt;
「はい、私はあの子が自分の年の離れた妹か子どものように思えてなりません。ただし、禿となってきたからにはあの子も何か由があってここへ来たのでしょう。ならば、ここで生き抜いていけるように私はこはくをきっちりと一人前の女へと育てねばなりません。行儀見習いだといって、都合良く使われて、禿に八つ当たりをする者もおりますが、それはここではよくあること。そんな理不尽なこともこはくの先の力になるでしょう。」&lt;br /&gt;
「こはくはつらがっておるか？」&lt;br /&gt;
「いいえ、私にはそんな顔は微塵も見せません。でも寝る時分になると布団に顔を引っ込めてじっと起きていることがあります。こはくは縁あって私の元に来た禿ですから、私がこはくをかばい、かわいがらねばなりません。十にも満たない子どもに楼のしきたりや慣れごとは少々きつすぎます。私がこはくの逃げ場となり、信頼に足る人間として存在しなければ、あの子の素直さは失われてしまいます」&lt;br /&gt;
火鉢の炭をつつきながら、とき葉はこはくのことを切々と話した。きっと自分がここへ来たときの気持ちを思い出しているのだろう。互いに様々な思いが頭の中をめぐり、しばらくの沈黙が続いたとき、こはくが座敷に戻ってきて、湯の支度が整ったことを告げた。&lt;br /&gt;
「こはく、先におやすみ。今夜は少し冷えるから、余分に着て寝なさい」&lt;br /&gt;
「あい、お先に」&lt;br /&gt;
深々とお辞儀をして、こはくは座敷を出た。そんなこはくを見て、一之進は宴の席でとき葉に過去を訊ねたことをますますすまないと思った。&lt;br /&gt;
「こはく、今夜はゆっくりと寝られればよいが」&lt;br /&gt;
「さあ、湯に参りましょう。あの子なら大丈夫です、今日はお菓子も頂き、あのようにはしゃいでおりましたから疲れてよく寝られます。それに芯の強い子ですから」&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>もうひとつの世界</dc:subject>

<dc:creator>とき葉</dc:creator>
<dc:date>2009-02-21T00:02:56+09:00</dc:date>
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<item rdf:about="http://toki-ichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/-8-d83f.html">
<title>蒼-8</title>
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<description>座敷には台の物が運ばれ、三味線を持った男衆と芸者が座敷に入って来た。とき葉は白地...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;座敷には台の物が運ばれ、三味線を持った男衆と芸者が座敷に入って来た。とき葉は白地に極彩色の鞠の模様の袷に黒い緞子の帯、格子模様に菊の柄の赤い打ち掛けに着替えていた。情を交わした後のけだるい様子もなく、さすが幼い禿のころから鍛えられているだけあって新鮮さすら感じさせるほどに華やかな雰囲気だった。&lt;br /&gt;
芸者が三味線をかき鳴らし、こはくが楽しそうに手遊びをする。一之進は&lt;br /&gt;
屏風の前にとき葉と並んで、そんな様子を眺めていた。&lt;br /&gt;
「なぁ、とき葉。おまえも幼いころはこのように遊んでおったのか？」&lt;br /&gt;
「はい、ここに来てからしばらくは、このこはくのようにいろいろな手習いをし、作法見習いをしておりました。無邪気なものです…これ、こはく。おまえもこちらへ来てお上がり」&lt;br /&gt;
一之進が聞きたかったのは本当はそんなことではなかった。とき葉がどこで生まれ、どのようにここに来たのかは初めて会ったときから気になっていた。&lt;br /&gt;
「…ここに、来る前のことは覚えておるか」&lt;br /&gt;
とき葉は笑みをたたえながらもきっぱりと答えた。&lt;br /&gt;
「はい、つまらない話でございます」&lt;br /&gt;
一之進は少しすまない気持ちになった。ここへ好んで来る女などいない。すべての女が借金を背負わされ、あるいは親に売られ、金というものに縛られて閉じ込められているも同然の生活をおくっているのだ。&lt;br /&gt;
「すまぬ。許してくれ」&lt;br /&gt;
「謝るとこはありません。私こそ不躾なお返事をいたしました。お許しください」&lt;br /&gt;
とき葉もここに来るには相当の苦労があった。しかし、人に話したところで過去は変わらない。一之進がとき葉の話を聞けばおそらく同情するであろう。客ならば同情をひく話のひとつでも打っておけばよいが、とき葉は一之進が自分の過去を聞いてつらい気持ちになるのが嫌だった。&lt;br /&gt;
太鼓持ち(幇間)がおかしな踊りを披露して、わざと転んだり滑ったりして笑いをとっている。&lt;br /&gt;
「もうひと月もすれば、桜も咲くだろう。今宵は暖かいな」&lt;br /&gt;
そういうと、一之進は盃の酒を一口あおった。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>もうひとつの世界</dc:subject>

<dc:creator>とき葉</dc:creator>
<dc:date>2009-02-16T21:56:31+09:00</dc:date>
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<item rdf:about="http://toki-ichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-a323.html">
<title>ゆめの外側から考える〜能動的受動と受動的能動〜</title>
<link>http://toki-ichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-a323.html</link>
<description>一之進はとき葉の客という立場であり、とき葉は被虐・羞恥的嗜好を持っているので、一...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;一之進はとき葉の客という立場であり、とき葉は被虐・羞恥的嗜好を持っているので、一之進の方が断然主導権を握っているかのように見える。&lt;br /&gt;
しかし、実は情事において主導権をしっかりとにぎっているのはとき葉である。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;一之進はとき葉の喜ぶ姿、すなわち恥ずかしがり、快楽に溺れ苦しむ姿が見たいのだ。そのためにとき葉が何を欲しているのか、何をしたらその状況を引き出せるのかを常にアンテナを張りつめて考えている。とき葉が羞恥で感じるのであれば、恥ずかしい姿に縛り上げてみる。とき葉が命令されることに快感を覚えるから、とき葉のして欲しい命令を下す。&lt;br /&gt;
とき葉の欲するがままに動いている、つまり受動的なのは一之進のほうなのだ。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;逆にとき葉は、一之進から注がれる快感のシャワーを一身に受け、一之進に次に何をすべきかを発信している。&lt;br /&gt;
「…そんなことしないで」といいながらも、それはして欲しくて言っているのだ。反応を示すことで一之進に遠回りすぎるほど、遠回りに指示している。逆に、して欲しくないことは無反応にやり過ごすだけだ。&lt;br /&gt;
して欲しいことを口では言わないまでも、反応や雰囲気、または拒否のふりをすることで、催促しつづけているとき葉は実に能動的である。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;もっとも、この営みは現代のイメクラのように筋書きがあれば簡単であるが、二人の情事に筋書きはない。ジャズセッションのアドリブのように、進行役がAというコードで進めばそれに追随したアレンジを演奏し、急に転調してもリズムを変えて曲についていく…。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;責める側の人間は、相手の反応によって次の行動を決める臨機応変さと、相手が本当に喜んでいるのか、そして次は何をしてもらいたいと思っているのか見分ける洞察力、相手にどの程度の刺激を与えるのかを決める判断能力がなければ、このような嗜好の情事は楽しむことができない。&lt;br /&gt;
とき葉と一之進のしている情事は非常に頭脳的なゲームである。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;付け加えておくが、時には痛みも快楽のエッセンスとなりうる。ただし「痛いのが好き」なのではない。責められているという実感そのもの、またそれに耐えているところを相手に見せられる喜びがここにある。「縄が好き」なのではない。愛している相手に拘束されていることが良いのだ。逃げられぬように縛られて快感を享受するのみで良いことが、縛られているにもかかわらず、なによりの開放感になる。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;そこまでのロジックがわかっている者同士でなければ、この快楽のゲームは進まない。そして二人の間に愛があればなおいい。とき葉と同じような嗜好を持った女がそのような相手を見つけたなら、女としては非常に幸せであろう。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>日記・コラム・つぶやき</dc:subject>

<dc:creator>とき葉</dc:creator>
<dc:date>2009-02-06T23:28:54+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://toki-ichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/-7-959e.html">
<title>蒼-7</title>
<link>http://toki-ichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/-7-959e.html</link>
<description>「あ…あっ、早く来て…」 羞恥に狂い、奥ゆかしく自分をねだる時、一之進はこれほど...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;「あ…あっ、早く来て…」&lt;br /&gt;羞恥に狂い、奥ゆかしく自分をねだる時、一之進はこれほどとき葉を愛おしいと思うときはない。盃を投げ出し、とき葉の肩を掴む。&lt;br /&gt;「とき葉、わたし以外の男にはそんな姿をみせないでおくれ…おまえはわたしのものだ」&lt;br /&gt;とき葉の両手を戒めていた腰紐をするすると解き、腰を抱いてとき葉を横たえさせ、とき葉の上に覆いかかると二人は熱く契りを交わす。楼の女が男よりも先に絶頂を迎えるのは恥とされていたが、とき葉は一之進の熱い突進を全身で受け止め、体を大きく反らす。&lt;br /&gt;「あぁっ…もうだめです、もう…」&lt;br /&gt;一之進の背中に手を廻し、とき葉の手には力がこもる。白い足はわずかな痙攣を見せ、とき葉は深く息を吐いた。&lt;br /&gt;「逝ったか、とき葉」&lt;br /&gt;一之進も息を弾ませながら、男冥利につきるとばかりにとき葉をきつく抱きしめる。今度は自分が下になり、とき葉を腰の上に座らせて手を繋ぐと、とき葉は一瞬観念したような表情を見せ自ら快楽に落ちていくように腰を動かす。&lt;br /&gt;「とき葉…綺麗だよ…顔をよく見せてくれ」&lt;br /&gt;「…られません…見せられません…あなた様以外の…人にはこんな…」&lt;br /&gt;「そうだよ…わたし以外の男には、こんなに乱れないでおくれ…さぁもっとよく見せるのだ」&lt;br /&gt;二人は絶頂の時を同時に迎えようとしていた。遠くで寺の鐘の音が聞こえる。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;何刻か経った後、まどろみの中にいる二人は物音に気がついた。先刻、菓子を買いに行った禿のこはくが部屋に三方をそっと運んできたのだった。&lt;br /&gt;三方の上には、青山庵の伊勢最中がちょこんと二つ並べられていて、黒文字が添えてあった。&lt;br /&gt;すっかり日は沈み、細く開けた障子からは紺色の空が見えた。&lt;br /&gt;布団の中で両手でしっかりととき葉を抱いたまま、一之進はこはくに微笑みかけ礼を言う。&lt;br /&gt;「ごくろうだった。ついでに茶を入れていってくれるか」&lt;br /&gt;こはくは無言でこくりとうなずき、火鉢にかけられた鉄瓶の湯で茶を入れる。とき葉もそれに気づきこはくに声をかける。&lt;br /&gt;「こはく、おかたじけ。お前も茶を飲んでお行き」&lt;br /&gt;こはくは幸せそうな二人を見て、照れくさそうにしながらもうなずいて茶をもう一つ注ぐ。とき葉はゆるゆると一之進の手をほどき襦袢の襟を合わせて布団から出る。&lt;br /&gt;「おまえの名はこはくというのか？良い名だな」&lt;br /&gt;一之進はこはくに話しかける。菓子を買いに遣わされる前とはすっかり違い、こはくの緊張は解けている様子で、きちんと一之進に茶を差し出す。&lt;br /&gt;「あい、お先にちょうだいしました」&lt;br /&gt;よほど菓子がうれしかったのか、こはくは思い出したようににっこりと笑う。&lt;br /&gt;「こはく、口の周りに餡がついたままですよ」&lt;br /&gt;姉のような口ぶりでとき葉が真剣に言うと、こはくは慌てて袖口で口をこする。一之進ととき葉は顔を見合わせて笑うと、一之進が口を開く。&lt;br /&gt;「とき葉も人が悪い、餡などはなからついてはおらぬ。こはく、腹は減らぬか？もう夕の食事の時間であろう」&lt;br /&gt;夜見世を知らせる拍子木が鳴った。禿の食事や着物はすべて、その面倒を見るとき葉のかかりになっているので、とき葉に客があるときは先に食事をすることはない。楼主の居室である内所では、少しの白飯と香の物くらいは貰えるが、とうてい満足するようなものではない。&lt;br /&gt;そのとき、楼の二階を仕切る男衆の喜助が襖の向こうから声をかける。&lt;br /&gt;「旦那様、台の物をおとりいたしましょうか」&lt;br /&gt;どこの楼でも、二階を取り仕切る役目の者は喜助と呼ばれ、部屋の様子を知られぬように把握して、適時よく声をかける。台の物とは、仕出し屋やそば屋が運んでくる食べ物のことを言う。&lt;br /&gt;「頼んだよ、豆腐を温かくあつらえてくれ。こはく、食べたい物を頼んでおいで」&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>もうひとつの世界</dc:subject>

<dc:creator>とき葉</dc:creator>
<dc:date>2009-02-01T23:38:20+09:00</dc:date>
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<item rdf:about="http://toki-ichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-7640.html">
<title>交わりと死</title>
<link>http://toki-ichi.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-7640.html</link>
<description>人には必ず生が有り、また死が訪れます。盛者必衰、会者定離。生まれでてたものには必...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;人には必ず生が有り、また死が訪れます。盛者必衰、会者定離。生まれでてたものには必ず死が訪れ、そこで会った者同士も、最期は死が分かつ。&lt;br /&gt;
本当のことを理解するのは大変難しいように思います。&lt;br /&gt;
とき葉は素直で一途な反面、妖艶で性に深く取り憑かれています。それは生のあるがままの姿ではと思わされることが多いです。生きれば必ず他の人間との接触があり、やがてその接触は男女のそれへと昇華していく。そして衰え、次の盛者に生命の輝く場所を譲り、死がおとずれる。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;近代では不義不貞だとか、社会のルールから外れた「情愛」は悪だと見なされがちです。とき葉の世界は現代のルールから私を解き放ってくれます。誰が量っても絶対な「金」だけに男女の営みが賭され、その中でとき葉は一之進を見つけてしまいました。とき葉が一之進とどう添い遂げるのか、私は楽しみです。それは、現実世界の私にとって、自分の持つ愛に対して正直に生きるための、手かがりとなるかもしれません。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;死は必ずおとずれるものだから、安心して生きられる。死がおとずれなければ、怖くて何もできません。どうせいつか死ぬんだからという、捨て鉢な気持ちではない、生に対して崇高な想いが自分を解き放つのかもしれません。生は愛、どちらをあきらめても、あきらめなくても死に至る。ならば、自分の情愛の赴くままに生きてもいいではないのでしょうか。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>日記・コラム・つぶやき</dc:subject>

<dc:creator>とき葉</dc:creator>
<dc:date>2009-01-30T22:53:34+09:00</dc:date>
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