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蒼-6

それでも一之進は容赦ない。とき葉の反応をおもしろがるように耳たぶを噛む。一之進は、男女の交わりの時には普段のさっぱりとした気性とは違った面を持つ。自分の動きに反応しているとき葉の表情やしぐさを見ると、もっとめちゃくちゃにしたい、壊したいという衝動に駆られる。掛け布団など傍らにめくり捨て、とき葉に胡座をかかせて自分の腰紐で後ろ手に縛り、襦袢を脱がさずに裾を腰まで捲る。とき葉は手を戒められているため隠す事もできず、恥ずかしくてたまらないような表情になるが、わざと煙草に火をつけそっけなく声をかける。
「とき葉、おまえのここはこんなに見て欲しいと泣いてせがんでおる」
一服煙を吐き出し、少し酒の残っていた盃を飲み干す。空になった盃をとき葉の秘部にあてがう。
「あぁ…やめてください。とき葉はそんなに…」
「濡れてはおらぬと申すか、ほれ、こんなに溜まっているではないか」
わずかに盃に垂れたしずくをとき葉の目の前にもっていき見せつける。とき葉はいやいやをして見ない振りをするが、見なくても自分が十分に潤っていることはとき葉本人が一番わかっていた。
とき葉が水揚げの時に手ほどきを受けた爺も、そのような趣向の強い大店の商家の主であった。楼主がとき葉の性格を見抜いた上であてがった客で、数々の女を品物に仕立てあげてきた来た楼主にさえ、とき葉の恥じらう姿は一幅の掛け軸にも勝ると言わしめるまでにとき葉を成長させた粋人であった。それがとき葉にとって幸せなのかは誰にもわからないが、おかげでとき葉はそのような趣向を持った少数の豪商や武士を客としていたため、毎日毎晩、何人もこなさねばならない他の女達よりは体力的にも、金銭的にもましであった。とき葉の客はたいてい居続けといって昼見世から夜見世、そのまま朝まで居る事が多かった。そうは言っても心の無い男女の交わりを強いられることは女にとっては地獄に変わりはない。そんな中で一之進との逢瀬はとき葉の生きるよすがであり、この上ない幸せのひとときであった。
「一之進様、お許しくださいませ…」
羞恥にからだを折り曲げるようにして懇願するとき葉を横目に、しずくが溜まった盃に酒を注ぎ足し、一之進は口にする。急にやさしい口ぶりになり、とき葉に顔を近づける。
「とき葉の酒は旨いのう。どうだ、次はどうして欲しいのだ」

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